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2002年6月
それは1月に沖縄をスタートし、4ヶ月後、終着点に到着した。
長い旅だった。
私が住んでいる道東を目指して北紀行に出たのは、もちろん自転車の旅人ではない、あらゆる所に春を届けて進む、あの桜前線である。
数年前、120キロ離れた釧路の空港に降りた知人を迎えに行く途中、国道沿いの牧草地の真ん中に1本の桜の古木を見つけた。以来、傾斜した畑の中腹のその木が何故か気になり、毎年、開花の時期になると車を走らせていた。
すでに樹命も尽きるほどの時間を経ているのか、最近は花の数も色も寂しかった。
しかし、今春は違っていた。すべての枝にピンクの花をまとい、その重さでしなるように見えるほどだった。私は嬉しくなった。来年は弁当を持ち、家族とともに古木の元気を祝いに行こうと心に決めた。
〈津田 典秀〉
ムツゴロウ動物王国
「いしかわさんの命がいっぱい」
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