2003年2月

 ファインダーを覗いていて、息が止まった....。
 世界最大級の猛禽、国の天然記念物、そして北海道東部では、冬の使者として知られるオオワシである。
 その美しさと風格から「世界中のバードウオッチャーが憧れる」と言われ、ロシア極東の繁殖地からこの辺の越冬地まで、限られた地域でのみその雄姿を見る事ができる。
 例年、漁船のおこぼれを狙って羅臼の海に集まるが、今冬は非常に少ない。スケソウダラ漁の不振のせいで、野付半島から大平洋側へと広く分散しているようだ。
 ハンターが仕留め死体を放置した事による、エゾシカ体内の残留鉛弾による中毒だけではなく、漁業、林業などの人間の日常の営みそのものが、オオワシの暮らしに影響を与えている。野生の王者に見える彼らも、ある種の人間依存が必要な、ヒト周辺動物と言えるのである。

〈津田 典秀〉






ムツゴロウ動物王国「いしかわさんの命がいっぱい」

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