2002年11月

 「サロルンカムイ」・・・アイヌの人たちはこう呼んでいた。「ヨシ原の神」という意味である。

 タンチョウ....一時は40羽もいないのではと、絶滅を心配された時期もあった。心ある人々の活動が実り、今では700を超える数字が報告されている。
 そうなると、新たな問題も起きて来た。釧路湿原や霧多布湿原などの生息に適した場所が飽和状態となってしまった。やむなく彼らは、十勝へ、網走管内へと繁殖の場を求めて飛んでいる。
 雪どけの頃、普通は2個の卵を抱き始める。しかし、2羽のヒナが育つのはまれな事である。
 先日、私は初めて4羽のファミリーに出会った。2羽のヒナは、まだ茶の幼さの印を羽に残していた。

 この気高く美しい「ヨシ原の神」たちの楽園の片隅に、私は同居させてもらっている。
 その幸せに感謝を込めて、静かにシャッターを押し続けた。
〈津田 典秀〉






ムツゴロウ動物王国「いしかわさんの命がいっぱい」

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