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何気ない日々の暮らし......積み重なって大きな変化が!

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2004年08月18日(水) 天気:晴れ 最高:35℃ 最低:22℃


 湿気が多かったせいだろうか、今日の暑さは身体に響いた。お茶などを飲んでも飲んでも喉が渇き、汗が衣服を濡らした。

 北の地からやって来た犬たちは、すっかり西多摩の気候に順応した。いや、気候ではない、暮らしている環境と言うべきだろう。
 彼らは、今日のような30数℃、蒸し暑い日は、クーラーの効いた雑居館に長く留まる。この建物のドアは開放されている。つまり犬たち自身が判断し、涼しい場所に集まることになる。
 昨日は28℃、このような日は、のんびりと戸外を楽しみ、クーラの部屋は、時々確認に寄る程度だ。
 素晴らしきかな犬たちの知恵、それに感心し、顧みて人間の順応力のなさにあきれている。そう、昨日もクーラーを入れっぱなしで寝てしまい、鼻の調子が悪い。



2004年08月17日(火) 天気:曇りのち雨 最高:28℃ 最低:21℃

 チベコと言う名前の犬が、新しい王国の『石川百友坊』にいる。ネコ館の横、通路から少し離れているので気づかれないことも多い。
 なぜそんな場所に柵を作ったのか、これには理由があった。そう、チベコはチベタンマスチフ種、まさにマスチフ系大型犬の原種であり、番犬性質の固まりのような犬だったからだ。
 
 中標津の牧場の夜、数匹のチベタンマスチフの声は夜中でも途切れることなく「ウォンウォン」と続き、よそ者の侵入に備えていた。
 気に入らない、と言うか、気になる人の姿や声は確実に覚え、その人を一目見、一声聞いただけで鋭く長い吠え声が続いた。
 女房もそんな一人で、彼女の姿を実際に前にしなくても、テレビから声が聞こえただけで吠え声が始った。

 その素晴らしい番犬本能を、新しい王国で皆さんに知ってほしかった。そしてその展開のために(万が一の安全も考えて)、チベコの暮らす柵は通り道から外した。

 その作戦は、実は頓挫してしまった。
 なんと、こちらに来てからのチベコは番犬どころか借りてきたネコ状態、新しい環境を自分のエリアとは認識せずに、共有環境と思っている。
 従って『守る』気持ちは出現せず、中標津では、まるで天敵のようだった我が女房にまで尾を振り、ひとかけらのジャーキーを嬉しそうにもらっている。
 他の犬に対してもフレンドリーである。そう、ドッグランに連れて来られた明るい犬の状態で、社会性十分な挨拶を交わし、互いを認めてつきあっている。

 これが悪い事とは思わない、堕落とも思わない。
 新しい地で、穏やかな暮らしを手に入れたチベコ、これも楽しき生き方だと思う。なんと言っても、大好きなミタニさんや他の人間に可愛がられている時間が倍増したのだから。
 



2004年08月16日(月) 天気:晴れ時々曇り 最高:30℃ 最低:19℃

 大阪からTさん御夫妻が来られた。十数年ぶりの再会だった。福井からSさんが来られた、賀状をやりとりして20年、初めての出会いだった。立川からはムツさんの本を熟読されている青年が、そしてラーナとオビの子犬を希望されている方が二組。

 今日も素晴らしい笑顔のあふれた1日だった。
 
 「北海道は遠くて、時間もお金も掛かります。いつかと思いながら、やはり夢でした。でも東京ならば来ることができます、越して来ていただき、本当にありがたいと思います....」

 そのような言葉をいただくと、私の顔と心は嬉しさで崩れ、あらぬ事を口走ってしまう。
 西多摩の地で開国をして間もなく20日、本当に良かったと思う気持ちが日増しに強くなっている。応援をして下さっている皆さんには、ただただ感謝である。

 日に何度か、ネコ館のドアと窓を開け、ネコたちを解放している。もちろんゲストの方が来られている時間帯である。
 ネコたちは混雑が苦手である。金やフィラ、カールなどは高さ2メートルのネコ用の通路(ネコ回廊)を行き来し、ハンナやうーちゃん、小次郎、ニャムなどの人間平気派は、気楽に人の足下を駈けている。
 ネコの出て行った建物に喜んで入って行くのがセンやラッキー、タブなどの犬たちで、どんな素晴らしいことがあるのかと室内を探索し、ネコたちの餌を見つけて口をつけ、私たちに怒られている。

 日増しに雑居らしさが出て来ている。これにニワトリや羊、ヤギが加われば言うことはない、計画を立てて実行する時期に来ているだろう、さっそく考えなければ。

 人間界で言えば、今日がマロの初七日だった。各地から届いた花々の香りも薄くなってきた。明日は少し片付け、マロには部屋の隅で見守ってもらおう。広くなった場所で、群れを引き継いだ連中が昼寝をし、元気に遊ぶことが、マロへの供養だと思う。そう考え、タバコの煙を空中に吹き出した時に、タドンとセン、そしてカボスが絡み合ってガウガウを始めた。寝る場所を争っての出来事である。マロが生きていたならば、どうしただろうか、と想像しながら、私は大声で言った、

 「こらっ、いいかげんにしろっ、うるさい!」



2004年08月15日(日) 天気:雨夕方から曇り 最高:20℃ 最低:17℃


 夜半から雨になっていた。風は東から北、温度計は20の目盛りに到達していなかった。
 昼を過ぎても雨は続き、気温もやっと20度、濡れて来られる皆さんのために、犬たちであふれる部屋は暖房を入れた。昨日は同じ器具から盛んに冷気を流していた。1日にしてこの違いよう、犬たちは平気だが、人間はとまどっていた。

 オビ、今日も午後4時過ぎに結ばれる。どうやら彼は16時のオトコのようだ。



2004年08月14日(土) 天気:晴れのち曇り 最高:34℃ 最低:24℃


 暑い1日、熱い言葉を出させていただいた。
 オビは午後4時、2度目の熱い結婚を成功させた。



2004年08月13日(金) 天気:晴れそして薄曇り 最高:31℃ 最低:23℃

 今日も、多くの方が、マロを訪ねて来られた。たくさんの花に囲まれ、マロは静かに壷の中から、ありがとうと言っていただろう。
 横の壁面に書いていたマロの一族の系統図が完成した。1992年のマロとミロの結婚をスタートに、子、孫(一部ひ孫)の段階までの繋がりを記した。正確な数ではない、しかし、イギリスからやって来た1匹の笑顔豊かなオス犬から、3世代だけで300匹以上の子や孫、そしてひ孫が誕生している。そのほとんどが今を生き、多くの方に笑顔を向け、多くの方を笑顔にしていると思うと、ただただマロに感謝である。

 そして、今日、2歳のオス、マロの孫であるオビがラーナと結ばれた。
 祖父が旅立った直後に、まさしく確実に命を継ぎますよ、とでも言うように新しい命、白い天使を誕生させるべく行われた儀式。
 私は、数十人の皆さんと最後まで見守った。

 オビには初めての交尾だった。同居して3日目、まるでマロのように確実に終えてくれた。後は受精、そして受胎、さらに無事な妊娠と出産を待つだけである。
 なんとしても....そう祈るだけである。

 オビ、ありがとう。
 そう伝え、大好きなジャーキーを与えた。
 2時間前には、柵ごしに寄ってきたオスの柴犬のシバレに対して、ひけ腰で10メートルほど離れていたオビが、交尾の後、鼻にシワを寄せ、歯を剥き出して威嚇し、そしてガウガウと立ち向かった。
 オビは今日、大人になった。



2004年08月12日(木) 天気:晴れ 最高:34℃ 最低:24℃


 「あっ、いい香り、なんだろう?」

 10時の開国時間が過ぎ、私の常駐している建物に入って来られたタンクトップの女性が、無理矢理同伴をさせてきた感じの若い男性に向かってつぶやいた。

 「あっ、マロちゃんが死んだんだ、えーっ、会えると思ったのにー」

 私は説明を始めた。

 「一昨日、本当に眠るようにして去っていきました。最後も親分らしく堂々としていました。マロを知っていたんですか?」

 女性は、同伴男性の顔と私の顔を交互に見ながら、

 「そう、ずーっとTVなんかで見ていたの、ファンだったんだ、マロの。会いたくて来たんです」

 男性も彼女の言葉に頷いていた、どうやら無理に来たわけではない、などと余計なことを思いながら、マロの1生を簡単に二人に説明をした。

 今日も、マロに向けて、花が届いた。
 花瓶(即製の)が足りず、とうとうバケツまでもが登場した。時間を作り、駆けつけてくれた方も大勢いた。

 「マロ、嬉しいね、ありがたいね、お前は凄いなー」

 そう心の中で語りかけ、壁に何枚かのマロの写真を追加した。どのカットにも思い出があり、北の大地で暮らしていた頃を蘇らせた。
 9月、何とか隙間を見つけ、立派とほめられた骨と旅をしよう、そう決めた。



2004年08月11日(水) 天気:曇り時々晴れ 最高:30℃ 最低:24℃


 マロを送る。



2004年08月10日(火) 天気:晴れ時々曇り 最高:33℃ 最低:25℃

   静かなる勇者

 そして、すべての生き物に優しき親分であったサモエド『マロ』 牡 13歳4ヶ月と5日。
  8月10日 午後2時15分 静かに旅立つ。

+++++++++++++++++++++++++++++

   当幌の  流れに遊ぶ  子犬たち
     戻れと呼んで   首をくわえし

 *マロは心配性だった。当幌川で遊ぶ子犬たちが、流れとドッグレッグした岸に苦闘を始めると、マロは首筋をくわえ、一瞬のうちに引き上げていた。私はそれを3度、目撃した。

   2度目には  小屋に駆け込み  目をそらし
     ハーネスを手の   私を消し去る

 *サモエドはソリ犬の才能を備えているはず、と始めた練習。1度で懲りたのか、私の手のハーネスを見ただけで小屋に入った。私に気づかぬふりを装っていたが、その耳は見事にマロの意識を映し、緊張の中で倒れていた。

   子犬たち  サークルを出て  駆け寄るは
     マロの口元   吐きもどし餌

 *マロは雄である。しかし、8歳以後、すべての子犬に(我が子ではない)食べた餌を吐き戻して与えようとした。味をしめた子犬たちは、母親よりもマロに駆け寄るようになった。人間に叱られると、マロは車庫の陰に子犬たちを連れて行き、そこで吐いていた。犬のオスでこの行動を見たのは、マロが初めてである。

   さりげなく  タムの前に  2メートル
     タローとともに   露をはらう

 *浜中の王国から我が家とともに中標津に越した秋田犬のタム。王国での下克上による精神的、肉体的ダメージを癒し、転地して再度、リーダーとして活躍できたのは、2番手、3番手として支えたマロとオオカミ犬のタローのおかげだった。

   8匹の  妻を娶し  オトコ犬
     その心と姿   100の子犬に

 *マロはドンファンだった。そしてテクニックも素晴らしかった。メス犬の排卵を待ち、卵の熟成を待ち、無駄なく決めた。
 他のオス犬が、発情早期にしつこく言い寄り、ガウガウされるのとは大違いだった。マロの血を継いだ笑顔犬を辿ると、おそらく300になるだろう。

   女房の  軽いいびきの  すぐ横で
     お前は無言   アジサイは紫

 *人間の社会なら通夜だろうか。もの言わぬマロは、今(11日午前1時40分)、王国の雑居館で横になっている。女房は今夜も付き添い、最後の夜を過ごしている。枕元に1本のアジサイ、新しき王国の名花である。
 椿、桜には間に合わず、紅葉と栗を待たずに、マロは王国の新しき運動の地から旅立った。

   何処からの  使者ならん  白き犬
     君は笑顔で   我を導く

 *サモエドはクリスマス犬だと言われている。年中明るく、友好的だと。マロと言う名はロシア語のマローズからきている。白い嵐、猛吹雪というような意味だ。そしてもうひとつ、マローズはロシアでのサンタクロースの別名である。マローズおじさん(サンタクロース)、ムツさんの付けたこの名前、なんとピッタリだったことか。

 ++++++++++++++++++++++++++++

 9日
 <21時40分> アベくんが病院から戻った。持ち帰ってくれたレントゲン写真を見る。覚悟はできた、いや、せざるを得なかった。先生の所見メモとアベくんの話を聞き、その意を強くし、あえて声を明るくした。
 <22時10分> 病院の女房から電話、マロは餌を完食していた。煮た野菜と高栄養の缶詰を残さずに。
 それを聞き、判断が揺れた。とにかく明日、病院に行くことにした。
 
 10日
 <6時55分> 夜中の2時に出血、その後、成分輸血と点滴が続いていると女房が伝えてきた。舌はかなり白いとも。
 昨夜、アベくんたちと話しをした、「元気な犬たちを連れて行き、輸血の手もあるのでは」....と頭に浮かんだ。
 すぐに車を走らせたかったが、9時からFM放送のインタビューがあった。
 <10時20分> あきる野を出た。道中、夏休みの影響か、かなりの混みよう。3時間かかって病院に着いた。
 <13時40分> 先生に詳しく説明を聞き、こちらからも詳しく考え方を伝えた。安楽死は、今回は選ばないと。
 悔やみごとになるが、ぎりぎりの状況まで症状を出さなかったマロの強さに、どうして....と思ってしまう。『痛い、辛い』と叫んでくれなかったのかと。
 <14時10分> 駆けつけてきてくれている道中の友人と電話をしている時に、マロの腹部が動きを止めたことに気づく。反射的に人工呼吸を始めたが、すぐに、このままでいいのでは、と思い、先生を呼ぶ。
 <14時15分> 聴診器を当てていた先生が、ゆっくりと耳から外す。
 『ありがとうございました』
 女房とふたりで礼を言う。
 留置針を外し、尿道カテーテルを抜き、汚れたところをきれいにしてくれている先生と女房の動きを見ていると、しだいに視界がぼやけてきた。濡れたカメラを置き、女房のバッグを探り、テッシュを取り出す。
 <19時20分> あきる野に到着。群れのすべての犬が、動かぬマロに鼻を寄せた。いつもの場所に横たえ、みんなでブラシをかけた。1輪だけ、紫のアジサイに最後の夜をつきあってもらうことにした。

  遠くイギリスで生まれたマロ、
 「ありがとう、我が家の犬になってくれて」
 
   



2004年08月09日(月) 天気:晴れ 最高:33℃ 最低:24℃

 残念だが、マロの鼻血はあらたな方向に歩みを進めてしまった。
 昨夜3時過ぎに長い出血が始った。懸命にくしゃみをするように血を吹き出そうとするマロ、そして立ち上がり、水おけに口をつけて口をすすぐ姿。
 明けて早々に、大きな病院に向けてマロを乗せた車を走らせた。私は職場を離れられないので女房とアベくんに託した。
 
 昼過ぎ、1回目の連絡があった。レントゲン、血液検査等、様々なチェックを受けているとのことだった。
 その後、何度か連絡が入った。診断は思わしくなかった。今夜は点滴を受け、明日、私が病院に行って詳しく聞くことになった。
 
 今夜、女房はマロの横について病院で夜を過ごす。入院に際しては、飼い主家族の誰かが側にいることが重要との、素晴らしい病院の方針に感謝である。
 がんばれ、マロ!
 おまえはやっぱり親分だ!



2004年08月08日(日) 天気:晴れ時々曇り 最高:32℃ 最低:22℃

 また日記に空間ができてしまった。1行でもその日の出来事を、と思うのだが、眠気に負けて沈没してしまうことも多い。読んで下さっている皆さんには、本当に申し訳ない気持ちである。

 さて、マロのことを書かなければならない。
 5日の出来事を区切りとして、私はマロに隠居の暮らしをさせようと決めた。もちろん他の犬から隔離するとか、特別な部屋に収容するとかということではない。オス犬たちが緊張の駆け引きをするような場に連れ出さないだけである。
 
 そんな決めごとが影響したとは思わないが、昨日(7日)の朝から、マロの鼻血が繰り返されている。右の鼻から途切れずに続く出血を目にすると、白い毛ゆえに派手に赤が目立ち、少しあわててしまう。
 それでも、鼻を上げた時にむせる様子、左の穴からは出て来ないこと、吹き出す勢いはない、等々を確認し、しばらくは様子を見守ることにした。
 そうそう、シバレとのやりとりで臼歯の抜けた口の中の出血がみられないのも安心の材料だった。

 しかし、昨日の午後になり、たくさんのお客さんの見守る中で、かなり長く続く出血があった。さすがに私も心配になり、女房とアベくんに病院に走ってもらった。
 診察の結果では、血液の状態に特に問題はなく、若干、血小板の働きが遅いとのデータだった。とにかく薬で様子を見守ることにし、マロは3種類の経口薬をもらって帰ってきた。
 
 そして、今朝、マロは再び鼻血を出した。それはすぐに止まり、14時間過ぎ、さっき少量の出血をみた。
 主たる原因が分からない。あまり長く続くようであれば、精密な検査が必要になる。レントゲンに映らない腫瘍などもあるので、けしてあなどれない、しばらくは観察と手当、そして励ましの日が続くかも知れない。

 このようなマロの姿を、加えて、それを見守る私たちの姿を、新しい王国の場で、あるがままにお客さんに見ていただいている。王国とは命の、そのままの姿を展開、公開する場だと思っているからだ。
 鼻から吹き出すマロの血に、気持ち悪いと思われる方もいらっしゃるかも知れない。でも、皆さん、真剣に見つめ、そして励ましと心配の声を伝えて下さる。
 特に、子供たちの、
 
 『マロ、がんばれ〜!』
 
 は、涙が出るほど嬉しい。
 
 『ありがとう、きっとマロは元気になるよ、薬をちゃんと飲んでがんばるよ。。。』
 
 私はそう応え、
 
 『おいっ、皆が応援しているぞ、マロ、負けるなよ!』
 
 そう心の中でマロに伝えている。

 渦中のマロ、今日も夕食は完食だった。

 追記
 ラーナの発情が順調に経過し、今日、オビと同居をさせた。18歳の青年と40過ぎのオバさんのカップルである。10月に可愛い子犬の姿が見られるだろうか。



2004年08月05日(木) 天気:雨のち晴れ 最高:32℃ 最低:20℃

  マロの引退

 日記にタイトルを付けてみた。付けてみたい気分の1日だった。

 早朝、昨夜の宿直だったキョウタくんから電話があった。予想をしない時間のベルの音には、生き物たちの最悪を浮かべ、緊張する。
 いつもよりトーンの沈んだ彼の電話の声は、マロに関する事件を伝えてくれた。

 マロ......イギリス生まれのサモエドのオス、数えで14歳である。生後4ヶ月で我が家にやってきてからの数年は、秋田犬のタムを支えて石川家グループの力を確立し、タム亡き後は、オオカミ犬のタローを横に従え、群れのトップとして、その穏やかさと心配り、そして体力で、多い時には20数匹を統率してきた。
 一時期、息子のカザフがマロの地位を狙った。しかし、3度の直接対決を犬歯1本の喪失と数カ所の出血で制し、以後、絶対君主として群れの中心にいた。
 今回の東京への移動でも、マロが新居で落ち着いているからこそ、他の犬たちも横で眠り、同じように大小便のリズムを刻むことができた。

 そのマロが、今朝の闘いで敗れた。
 いや、争いを前提にしたマロのモチベーションではなかったと思う。発情が始ったための隔離柵に入れられていたカリンとラーナの出す匂いの方に近づいた時に、現役バリバリのオスとして2匹を守ろうとしていた柴のシバレに待ったを掛けられた。 
 そして実力行使、マロは歯石ごと左の臼歯を失った。

 傷は軽い、出血もすぐに止まった。
 だが、マロの心への影響は大きかったかも知れない。耳が遠くなり、目も片方はかなり白い。5感の中の2つが衰えた中で、いまだ現役の嗅覚に導かれるまま近づいた発情メスの柵際で、思わぬ闘争が起きたこと、それはマロには思いもかけぬ天からの衝撃だったに違いない。
 
 ここが潮時だと思う。トップに立つ犬には次の予測が重要である。それが果たせぬ状態では、常に心配がつきまとう。
 シバレはオスの犬らしく行動した。彼に非はない。いや、逆にシバレには感謝すべきかもしれない。私や女房が、マロとの長い時間、そのほとんどで頂点にいるマロの姿だけを見て来ただけに、いつまでもマロにトップであれと過剰な期待を(それも情緒的に)負わせてきたのかも知れない。
 シバレはマロに少しの傷を印すことで、私たちに時期を知らせる役目を果たしたと思う。

 キョウタくんは自分の責任のように考えていたが、これも違う。命の関係は1時間で変化するものであり、起きた事によって次を判断する、そんな事態も数多い。

 朝から私はマロを見続けた。
 そして結論した。
 マロは明日から石川百友坊の犬たちの象徴となる。1本のジャーキーを喜び、多くの生き物好きの皆さんとの交流を笑顔で行い、数百の子孫との再会を楽しみに生きる隠居に任命する。

 マロの身体を離れた2本の歯を見比べた。
 カザフとの争いで抜けた犬歯には艶があり、今日抜けた臼歯は、黄ばみ、すり切れていた。

 

 



2004年08月04日(水) 天気:晴れ時々曇り 最高:33℃ 最低:21℃


 家に帰り、メールを開けた。20ほどの迷惑メール(ウイルスを含む)の中に、初めての名前を見つけた。昨日、王国に来て下さった方だった。
 王国の感想、犬やネコたちのフレンドリーさと意志ある姿、行動などに関して、嬉しい励ましをいただいた。

 そして、この1行が私を笑顔にした....
 
 『帰宅後、我が家のコーギー(11歳)と、ネコ(元捨てネコ、推定4歳)に、子どもたちがやたらやさしくしているのを見て、「よし!夏休み中にまた行くぞ!」と決心した次第です』

 子供たちの心と身体にビタミンを。。。
 これが新しい王国の基本である。だからこそより多くの子供たちが来やすい首都圏に移転をした。
 小さな、本当に小さなことかも知れないが、ミニコミュニケーションを重ね、楽しい空間、そして運動を築きあげていきたい。そのエネルギーを1通のメールからいただいた。ありがとうございます。

 今日、サモエドのダーチャの娘が百友坊(我が家の連中などが暮らすスペース)に来た。2001年5月に生後2ヶ月で旅立って以来の母娘の再会である。
 名前はマーヤ、王国から車で30分ほどの所で柴犬やネコたちと暮らしている。今回、その飼い主のKさんに王国の手伝いをしてもらっている。
 まだ展開はしていないが、王国にはドッグラン計画もあり、その準備の一環としてマーヤに40匹の犬たちがいるスペースに入ってもらった。
 こうすることで、我が家のどの子がよその犬に対して落ち着いた行動ができるかが確認できる。そう、ドッグランでのインストラクター犬(怯えた犬、勝ち気な犬を上手にリードし、ともに遊ぶ仕事を担う)候補を決める作業のひとつである。

 そして、もうひとつ、長い時間を置いた後、母犬と娘がどう再会の場で行動するか、それも確認したかった。

 2匹は、あっさりとした匂い嗅ぎの後、似たような行動(遊び等)を始めた。もちろん母のダーチャが上位であり、マーヤはそれを意識しつつも、上手にスペースを楽しんでいた。
 

 

 



2004年08月03日(火) 天気:曇りときどき晴れ 最高:32℃ 最低:20℃


 予報に反して雨にはならなかった。
 それでは、ということで、懸案になっていたネコたちの外出を行った。開国までに計画通り、ネコ用の通路(空中回廊である)は、なんとかできていた。しかし、あちらこちらに修正箇所がみつかり、その手当をアベくんがトンカチとノコギリを手に行った。

 先ず、ネコ館の天井のすぐ下にあるネコの出入り口を開けた。ギンが出た、続いてキンが、そしてハンナとチャーリー、ミンツにコジロウ、フィラと続いた。
 回廊は、お客さんや犬たちが歩く地面から2メートルの高さの所にある。周囲を確認しながらギンたちは屋根に登り、樹木で爪とぎをし、回廊を何度も行き来した。

 私たちは賑やかに見守り、ネコたちの堂々とした動きに笑顔になった。
 予想通り、そんな感想と満足を胸に、また新しい明日を待つ。
 さて、何時にネコ御用達の出入り口を開放しようか...。



2004年08月02日(月) 天気:晴れ 最高:32℃ 最低:22℃

 日が変わってしまった。新しい王国の『石川百友坊』の中にある雑居館で、ラジオを聞きながらパソコンに向かっている。手元には泡の出る麦茶の缶。足もとにはツマミのピーナッツを待つ柴犬のシグレがいる。ビール缶を手にガサゴソと始めると、ほとんどの犬が瞳を輝かせて寄って来る。これは新しい楽しみである。と言うのも、北の地にいたころは犬たちは外でつながれていた。私の晩酌に立ち会うことはまれだった。
 しかし、今度は違う。自由に出入りのできる建物が中心にあり、犬たちは戸外と室内を自由に選択できる。
 さてツマミ狙いの犬たちだが、今日の一品が落花生と知ると、みんながっかりした顔つきで元の寝ていた場所に戻る。1匹だけ、そうシグレだけが動こうとしない。試しに一粒の豆を与えてみた。なんとシグレはポリポリと音を立て、実にうまそうに食べた。
 以後、私が2粒、シグレが1粒のリズムで楽しい時間が過ぎている。

 何日前だろうか、今回の開国に寄せられた皆さんの祝いのお言葉、写真に対しての長い返信を書いた。いや、書いたはずだった。
 それが、ちょっとしたミスですべてを消してしまった。
 2時間をかけて書いた文章を再度書く気力と時間は私にはなかった。ただただお詫びだけだった。
 その時のメモを元に、今日の日記として書かせていただこう。7月28日、29日、このホームページの掲示板に寄って下さった皆さんへの御礼である。
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 レオナママさん、1番のりでの来国、ありがとうございます。すべてが良い方向へ、と祈っております。
 
 ボスママさん、本当に遠くからの運転、感謝いたします。甥っこクンの犬に会った時の笑顔、最高です。
 
 YHS-Fさん、素晴らしい写真、とても嬉しいウブです。海を越えての再会を楽しみにしています。
 
 マロン&ハニーさん、近日中にお会いできそうな予感?!新王国のドッグラン・プチは整備をしています。GOとなりましたら早速、ハニーとダーチャの母娘再会ですね。
 
 ブーママ。さん、遠くからのエール、ありがとうございます。
秋には関西で大オフ会とのこと、行きたいウブでした。
 
 わくわくさん、いつもありがとうございます。わくわく日記を拝見し、王国の他の部分の様子がよく分かりました。
 
 秦野爺さん、ご夫妻、そして風羽ちゃんとお母さんの来国、ありがとうございます。風羽ちゃんが忘れていたらどうしようかと心配でしたが、取り越し苦労、ほっとしました。
 
 ともこさん、祝いの言葉、ありがとうございます。北の地でも大集合があるようですね、お楽しみ下さい。皆さんによろしくお伝え下さい。
 
 夢さん、はいっ、皆さんの応援が開国を支えてくれました。ぜひマロ、センたちに会いに来て下さい。
 
 りきしゃ〜ん、31日ですね。待ち構えています。
 
 チサさん、ありがとうございます。一族再会をと願っています。
 
 けいちんさん、レストラン『ポル・キロ』での乾杯の日を楽しみにしています。
 
 らたさん、可愛い写真での祝いの言葉、ありがとうございます。上京の際には、ぜひ!
 
 だいだいさん、ニャム、そしてウー、トコが待っています。ネコたちみんな、元気にスタートを切りました。
 
 銀座のかもめさん、暑さ。。。どうやら人間が1番弱いようです。来国の際には、ぜひウブを捕まえ、一言を。
 
 りょうさん、広島から東京、あっという間と信じています。お待ちしています。
 
 ととははさん、ピーカン息子さん、ありがとうございます。新聞の写真、拝見しました。
 
 ゆるりんさん、名古屋から東京、何時間?りょうさんよりは近いですね、いつでもどうぞ。
 
 ぽちちさん、祝いの言葉、ありがとうございます。この後も、各局で映像が流れる予定です。
 
 樹里ママさん、雨の中、ありがとうございます。樹里ちゃん、楽しんでくれたでしょうか?!ぜひ、またどうぞ。
 
 ちょんぼさん、メイ君の件、感激しています。開国への言葉ともども、ありがとうございます。3ショット、素晴らしいですね、その雰囲気が。
 
 サミーさん、さっそく少人数の長ぐつマンドが活動しています。とびこみでの参加、大歓迎です、ぜひ、ぜひ!
 
 ブチさん、雨、どうですか?あきる野は、まだ断続的に続いています。ドッグランがスタートしましたら、2匹と来て下さいね。
 
 かつげんさん、北の地からの祝いの言葉、ありがとうございます。東京でもどこでも、王国は王国たれと思っています。
 
 チョッパーさん、飛行機でひと飛びです。ぜひ寄って下さい。そしてフクちゃん、15歳、おめでとう!
 
 もーちゃん、名前を拝見し、「あっ、もーちゃんだ!」と大きな声を出しました。横で寝ていたタドンが飛び起きました。ワクワク、ありがとうございます。
 
 snowdropさん、祝いの言葉、本当にありがとうございます。近々、はいっ、楽しみにしています。
 
 イワンママさん、ようやくですが辿り着きました。ありがとうございます。詩音の近縁が待っています。
 
 これみつ&にっきさん、はいっ、『ついに』です。新しい歩みの中には、たくさんの交差点を、と願っています。多謝です。
 
 チーママ。さん、思いの形作りの1歩が始りました。りきまるにも参加を、と願っています(ぜひ機会がありますように)。
 
 モン次郎ママさん、ありがとうございます。今年、来年...はいっ、楽しみです。
 
 レン☆さん、ドサンコに会いに、そして乗りに(現在は環境馴致中ですが)来て下さい、お待ちしています。
 
 ともぴ〜♪さん、親子そろっての来国を楽しみにしています。ぜひっ!

 利樹&パパ・ママさん、バンザ〜イをありがとうございます。

 うめこさん、待っています、ぜひターキッシュ話を!
 
 ジョグさん、遠くからの祝いの言葉、ありがとうございます。ジョグさんの勇姿もパネルとなって展示されています。帰国をされましたら、ぜひ寄って下さい。
 
 リーフママさん、2度目の母娘再会を楽しみにしています。はたしてバニーは?!夏バテからの復帰を〜!
 
 さとさん、祝いの言葉、恐縮です。ぜひ寄って下さい。
 
 ちいまきさん、内地は暑いです。でもあと戻りはできません。ドサンコのがんばりをと思っています。いつも北海道を背に感じています。
 
 ずしおうさん、そうそうに祝いの言葉、ありがとうございます。お会いできる日も近いと信じています。
 
 さなえさん、カシャン...と実際に音をたてて乾杯を、と願っています。上京をされましたら、ぜひ!
 
 豆のパパさん、ありがとうございます。1歩ずつ前進していく覚悟です。そのスタートの日、青空でした。
 
 さくらぼさん、来国、そして写真をありがとうございます。サンゴ、セン、タブに会っていただけたこと、何よりと思っています。
 
 やすこさん、久しぶりだったのですが、時間の隔たりは感じませんでした。今度は近くですね、いつでもどうぞ。
 
 kazuさん、ハッピの写真、ありがとうございます。あきる野で待っています。
 
 Yさん、ベルクっ子の様子を詳しく教えていただき、ありがとうございます。母娘、兄弟の再会が楽しみです。
 
 ばんちゃん、おひさしぶりです。京都も暑いのでしょうね。祝いの言葉、ありがとうございます。
 
 桃太郎母さん、ベニーの元気な姿を見ていただけたこと、嬉しく思います。
 
 れっちりさん、次回は、ぜひ声をかけて下さい。楽しみです。
 
 しーなさん、ようこそです。そうですか、あれから5年半になりますか。よもやま話は、ぜひ王国で!
 
 ショウさん、祝いの言葉、ありがとうございます。ぜひ見に来て下さい。
 
 はるさん、ラーナ、元気です。雷感知犬の仕事をしています。
 
 パンジャさん、お忙しい中、ありがとうございます。マロ、外に出て暑い時は、すぐに扉の展開を考えています。
 
 とも★さん、はいっ、石川百友坊は、あの北の庭を目指しています。そのうちコッケイも?!
 
 ななままさん、開国のTVの画像、ありがとうございます。犬たちは大きくなったななこちゃんを待っています! 
 
 くまじママさん、良き開国日和でした。次は良き再会をと願って楽しみにしています。
 
 ちょぴんさん、ショスターコービッチの曲が響く中での作業、ありがとうございます。
 
 セーラさん、指くわえ隊の活躍時間です。ガンバリましょう。
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 以上、開国1日目、2日目のエールに対しての返信です。
 もし、お名前のない方がいらっしゃいましたら、そして、その後にたくさん寄せて下さった皆さん、申し訳ありませんが、まとめての御礼とさせていただきます。
 ありがとうございます、皆さん。