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何気ない日々の暮らし......積み重なって大きな変化が!

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2004年10月31日(日) 天気:曇り 最高:20℃ 最低:13℃


 降りそうで降らない1日も、夜になって本格的に雨になった。
 そろそろ本当の秋晴れが欲しいのだが、今年の梅雨のように、『そろそろ』と言っているうちに時が過ぎて冬となるのだろうか。
 とにかく、30数年ぶりの東京での生活、心と身体と気候のタイミングが合わず、少々あたふたとしている。

 開国して3ヶ月が過ぎ、新しく顔なじみとなったゲストの方が増えた。今日も2歳ぐらいの女の子を連れたお父さんと笑顔で話をした。
 最初に来られたのは8月の初旬だったと思う。娘さんに犬との会話をさせたくて、とおっしゃっていた。
 立川に住み、あきる野に勤務地があるとのこと、次回はラーナの子犬がチョロチョロとしている頃だろうか。



2004年10月29日(金) 天気:晴れ 最高:17℃ 最低:4℃

 もう小春日和と言っても良いのだろうか、実に素晴らしい1日だった。

 今日も懐かしい方に会った。
 東京は都心に近い所にある専門学校の先生だった。60人ほどの学生たちを引き連れて王国に来て下さった。

 初めて先生と会ったのは、実は北海道だった。北の王国まで学生たちと修学旅行で来られた。
 馬に乗り、犬たちと原野を走り、そして学んで都会へ、、、、。

 その時の体験が学生たちに好評で、今度は近い所に王国が、ということで早速、みんなで来て下さった。
 生きものの事を学んでいる若い連中が、なにかひとつでも心に感じるものを持って帰ってくれたら、そんな気持ちでたくさんの話をして見た。



2004年10月28日(木) 天気:晴れ時々曇り 最高:16℃ 最低:9℃


 茨城からNさんが来て下さった。
 王国のパグは、Nさんの家で生まれたプースケなどから始まった。もう20年以上前の事である。

 Nさんは犬たちのために茨城に居を移され、そして私設のパグの博物館を運営されている。
 そこには素晴らしいパグの人形が並べられている。もちろんすべてNさんの手作りの作品である。何十年とパグを見続け、世話をされて来た方なので、表情にはリアリティがあり、さらに人形としての命も吹き込まれている。
 
 新しい王国の開国の祝いにと、数点の作品を頂いた。
 さてどこに、この素晴らしいパグを飾ろうかと、無事に出産を終えたタラコなどのパグの世話をしている上辻さんたちと悩んでいる。



2004年10月27日(水) 天気:晴れ間のち曇り 最高:15℃ 最低:10℃


 ラーナの子犬の目が開いた。
 まだ2匹半(1匹は片目だけなので)ではあるが、それでも隙間のような目が成長を物語り、嬉しくなってしまう。
 もちろん明度には反応を示し、まぶたを動かすことも出来る。



2004年10月26日(火) 天気:雨 最高:15℃ 最低:11℃


 冷たい雨、暗い風景、色づいた樹木の葉、そして部屋には暖かい暖房。
 あの猛暑が去り、いつの間にか時は移っている。

 西多摩はあきる野の地で、新しい王国を開いて3ヶ月。生きものたちは自分たちの生きて行く環境を認知し、そこでたくましく日々を楽しんでいる。
 情けないのはこの私、またまた風邪を引き、北海道にいた頃には『あたたかいね』と言っていた15℃の気温に身体を震わせ、なんと上着を含めて3枚も重ねている。
 「もう、年なんだから。。。」
 女房の言葉に逆らいたいと思いつつも、とうとうGパンの下にタイツを履いてしまった。

 ああ、寒気厳しい北海道の北部、名寄で鍛えた身体は、もう消えてしまったのだろうか。

 と、ここまでは情緒である。
 真実は単純である。私が東京に出て来て7ヶ月、見事にこの地に身体が順応しただけである。
 なんら犬やネコたちと変わらない。生きものとしての生き延びる知恵に基づき、脳が自動的に指令を出し、各機能を働かせていた。
 さあ、明日もタイツでがんばろう!



2004年10月25日(月) 天気:曇り時々晴れ間 最高:22℃ 最低:13℃


 ある動物専門学校の学生たちが60人ほどやって来た。トリマーの勉強をしている若者たちだった。けっこう男子学生も多いのは、まさに時代の流れかも知れない。
 王国の中では、彼らは団体行動ではなく、個々に判断をして見学等をすることになっていたらしい。
 しかし、私は彼らのような若者が大好きであり、期待もしている。
 と言う事で、短い時間だが、集まってもらって簡単な挨拶(解説)を行った。
 その基本は短い、

 『若者よ、疑いの目を持ち、自らの目と手と心と体験で判断をせよ』
 
 である。

 若い人たちが唯々諾々としていたら、世の中の、そして文化、産業の進化はあり得ない。既成のものを疑るところから出発し、自らを納得させる結論(実は、これも日々変わるものだが)を導きだしてほしい。

 また若者の集団を見つけたら、私はマイクを手に、余計なおせっかいオジサンになることだろう。



2004年10月24日(日) 天気:晴れ 最高:16℃ 最低:10℃

 穏やかに晴れた1日だった。
 王国は南西側、そして東南を山に囲まれている。おそらく昔から過度の伐採、植林はされて来なかったのだろう、杉などの単純林ではなく、針広混交林であり、さらに嬉しい事に落葉広葉樹が多い。
 何度かの雨、そして朝の気温の低下とともに、眺める樹木が色付き始めた。
 園内にあるソメイヨシノなどの桜は、エゾヤマザクラの葉ほど黒赤くはなく、おだやかに色を変えている。
 外来樹のヌマスギは、明らかに落葉松の1種だが、カラマツよりも赤みを帯びた紅葉で、北海道のナラやミズナラの葉が霜を何度か浴びた後のような、あでやかさとは無縁な色をしている。
 それでもまとまって色を変えていると、それなりに風情があり、私は好きだ。

 面白いことに、これから花を開こうとしているアワダチソウもあれば、まだ満開様の花を残すアジサイもある。
 まあ、人間でもそうだが、世の習いに反発したり、流れに抵抗する生き方を好むのは必ずいる。
 冬を前に、最後のがんばりを見せている植物たち、そしてそれを生活の場、友としている昆虫たち、そのまた周辺でネコたちが命を輝かせている。うーちゃんは蝶を捕らえ、コジロウは魚とトンボを狙っていた。



2004年10月23日(土) 天気:晴れのち曇り 最高:18℃ 最低:11℃

 明け方からそわそわとしていた。
 宿直の女房は、いつものように大きな声でラーナの子犬たちの様子を私に語った。
 空は晴れ、気温は身体をすっきりとさせる11度だった。

 10時の開国に合わせて、数匹の犬たちがやって来た。やがてドッグランには白い犬を中心に、にぎやかな遊びの輪ができていた。

 今日は、8月10日に天寿をまっとうした石川家グループのリーダー犬サモエドのマロの血をひく連中が集まる『マロ一族とその友人犬たちの小さなオフ会』の日だった。

 ドッグランはオープン後初めての貸し切り使用となっていた。
 午後、予定の犬、すべてが揃い、ドッグランの中には実家の泥汚れの連中とは異なり、サモエドらしく真っ白な犬が20数匹、ラブラドールのタブの親族、レオンベルガーのベルクの子供、そして他の犬種の仲良し立ち会い犬で、ピーク時は40匹を超えた。

 互いに初対面の犬が多かったが、まるで人間の企画意図を理解しているかのようにガウガウもケンカも少なかった。祭りに集まった親戚の雰囲気で、和やかにオフ会は進行して行った。
 これは、人間の関係を色濃く反映している。目的もバラバラな不特定多数が集まっているわけではなく、ある志、想いを共通に抱いての集合体故に、その匂いが犬たちにも通じ、穏やかさにくるまれていると思う。
 飼い主が、ある人間に対して、敵意とまではいかなくても『嫌い』と思ったならば、それは飼い犬に敏感に悟られてしまう、そんな気がする。
 もちろんこれは犬が備えている番犬才能に起因している。従って犬の前では、冗談でもあの人が憎い、嫌いなどと言ってはいけない、そんな本気をジョウダンめかして私はよく言う。

 雲が広がり、大きなテントの下は暗くなり、ライトが活躍を始めた。
 そんな中で、たくさんの犬たちの動きを眺めながら、私は、あの子はマロに似ている。この子は明らかに母親のラーナ系、そっちはダーチャ系、その子はアラル系、、、,。
 そんな区別をにこにこ顔で行っていた。

 幹事のKさんから参加名簿を貰った。しばらく眺めていて気づいた。
 今回の集まりの名目はマロ親分が主体になっていた。
 しかし、実際のマロの子供は3匹で、圧倒的に多いのはマロの息子であるカザフの子、つまりマロの孫たちだった。その数は13である。まさしく柱は、全国各地で人間に笑顔を提供している『カザフの子オフ会』だった。

 オフ会に参加をされた、ある方のケイタイ写真のライヴネットアルバムを見た。

 『なんとなくわかっていたはずなんですけど、ダーチャ系、ラーナ系、アラル系、マーヤ系、、、?  そう言えば、カザフの後ろ姿、歩き方って記憶に無い、、、、』

 私も同じような事を考えていた。
 この場に、13匹の子供たちが札幌、富山、仙台、福島、愛知、神奈川、東京、千葉、埼玉、滋賀などから集まっている。カザフ、そこに何故お前がいないのだ?、、、、と。

 カザフは北海道の我が家で初氷を口にしただろう。朝霧の中、霜柱を踏んだだろう。
 
 マロの跡を継ぐ2代目として活躍をしてきたあいつを、この秋の間に上京させよう、そう決心をした。その上で、来年の1月か2月に、サモエド一族の大集合を企画したい。
 もちろん、サモエドは、すべてが親戚である。可能ならば200匹の白い犬で、あきる野の大地に笑顔を満たしたい。

 午後6時、揺れを感じた。
 午後7時、その震源が女房の実家のある小千谷と知った。
 電話は繋がらない、
 しばらく待ってから、と女房に伝え、不安な気持ちで時を待つ。

 そして甥の携帯に繋がった。
 義母を含め、全員が無事、車の中で夜を過ごしているとの事だった。
 余震、穏やかなることをのぞむ。




2004年10月22日(金) 天気:快晴 最高:20℃ 最低:13℃

 『臭い』『匂い』、、、、。

 どちらでも構わないが、いつ頃から日本に住んでいる人間が、これに弱くなったのだろう。
 おっと語弊がある、弱くなった人が増えたのだろう、とすべきだろう。

 今日、数百人の幼稚園児が王国に来た。
 みんな元気な子供たちだった。

 ところが、である。10人にひとりぐらいの割合で、犬たちのいる建物に入ってくる時に、あらかじめ鼻を手でおさえてくるのである。
 私は、心の中でニヤニヤ、顔でニコニコして子供たちを迎えた。

 「何か匂いがするかな?」

 耳はおさえていないので、大声ではなく普通の声で鼻おさえの子に聞いた。

 「ウ〜ン、わかんない。でもお母さんが、きっとクサイ、と言ってたから。。。」

 その子のお母さんは、育児にあたって、かなり重い罪を犯している。そう私は思うが、もちろん子供たちの前では口にしない。

 代わりに、私は生後7日目を迎えたラーナの子犬を両手で抱き、鼻おさえの女の子の前に掲げた。

 「ほらっ、生まれて7日目、まだ目も耳の穴も開いていない子犬だよ、可愛いかな?」

 「うわ〜、可愛い〜!」

 その子は歓声を上げ、いつの間にか鼻おさえの手が空中で踊り、子犬のほうに伸びて来た。
 さあ、チャンスである。

 「おじさんが持っているから、子犬の匂いを嗅いでみて、どんな感じがするかな?!」

 周囲の友だちが我先にと子犬に鼻を寄せて行った。鼻おさえの子も負けじと可愛い鼻を子犬の頭に付け、息を吸い込むのが分った。

 「なんか、ミルクみたいな匂いがする〜。甘い匂いだ〜!」

 私は、だめ押しをする。
 
 「じやあ、今度はお母さん犬のラーナを嗅いでみて。。。。」

 子供たちは正直に感想を言ってくれた、

 「あ〜っ、犬臭い〜!」

 私の笑顔はまさに満面になる。

 「だろう、これが大人の犬の匂いなんだよ、そして、こっちが子犬、まったく違う匂いだよね、みんな覚えたかな?!」

 元気な声が返ってくる、

 「うん、ボク(ワタシ)、覚えた。子犬はいい匂いだ!」

 私は手近にあった犬用のタオルを手に取って言う、

 「じゃあ、このタオルの匂いは何だと思う?」

 子供たちは争ってシミのあるタオルに鼻を寄せた。

 「大人の犬だ〜!」

 『嗅覚』こそが、進化をした生きものたちの最後の拠りどころである。目や耳が衰えても、鼻の能力で生き延びて行く。
 それを磨くためには、芳しい香りだけではなく、あらゆる匂い(臭い)を嗅ぎ、違いの判る鼻にしておかなければならない。
  嗅覚細胞を鍛えずしては、すえたご飯の嗅ぎ分けもできず、危ない臭いに『鼻をそむける(嗅いでこそそむく反応ができる)』ことすらできない軟弱者となってしまう。

 今日の園児たち、ラーナ親子で匂いの話を楽しんだ後、鼻を手でおさえる子はいなくなった。



2004年10月21日(木) 天気:曇り時々雨のち晴れ 最高:19℃ 最低:14℃


 すっきりと台風一過らしい空になったのは午後からだった。昨夜は、西日本、中部日本ほどの被害は無く、台風は関東の北部を足早に過ぎてくれた。それでも王国の目の前を流れる秋川はゴーゴーと音を立て、岸辺から眺めると恐ろしい感じがした。

 一昨日、若いオスと結婚をしたラブラドールのタブ、今日、二度目の交配に成功した。発情が始まって12日目と14日目の交尾である。かなりの確率で妊娠が見込めるだろう。早くも生まれる子犬の数、そしてイエローとブラックの割合を賭け事にしようと企む輩が出て来ている。そう、私の事である。

 ラーナの子犬たち5匹も順調である。すでに600グラムを超えた子も入る。一番体重の少ない子でも500グラムを超えた。明日で生後1週間、ひと安心である。
 ラーナも、育児箱から出て床の上で腹這いになっている光景が見られるようになって来た。これもゆとりの印。でも、子犬が普通ではない声で鳴くと、必ず箱を覗き込み、状況の確認をしている。
 そうそう、箱の中に敷いてある布だが、母親の足などに付いていた泥による汚れはある。しかし、子犬のおしっこの臭いはせず、ミルク便の跡も臭いも無い。ベテラン母さんとして、見事に子犬たちの尻の世話をしている。

 ラーナと言えば、明後日、彼女の子たち(と言っても過去の出産の子だから、みんな成犬である)が、全国各地からたくさん集まって来る。
 残念ながら北海道の子は海峡の波が高いために断念をされたが、福島、滋賀、埼玉、千葉、東京等々、3度の出産で誕生し、それぞれの家庭で可愛がられている連中が顔を揃える。
 これは実家の乳母、乳父(ウブ?)としても冥利に尽きる事、大いなる喜びである。嵐の多い今年のもやもやを吹き飛ばす楽しい集いになるだろう。
 そして、集まった兄、姉を飼われている皆さんに、生まれたての弟妹を見て、抱いてもらいたい。

 まさか24号が急ターン、猛スピードで来ることはないと思うが、今は明後日前後の天候が気になる私である。



2004年10月20日(水) 天気:強い雨 最高:17℃ 最低:13℃

 台風23号に刺激されて前線が活発化し、時に強く朝から雨が続いている。今夜から明日の明け方にかけては台風本体が近づくとの事なので、さらに風が加わるだろう。
 空に恨みは無いが、ぶつぶつと言いながら飛びそうな物を片付け、風雨に備えた。

 明け方、ラーナの子犬の中でもっとも小さなメスが死んだ。生まれた時から体重は他の子の半分だった。
 しかし、子宮の中での立ち後れを取り戻そうとするかのように、どの子よりも長い時間乳首をくわえ、昨日は体重が増えたと、みんなで喜んだところだった。

 解剖をしていないので死因は判らない。生まれて4日の命ではあったが、おちびが懸命に生きたことは確かだ。
 
 雨の中を出勤して来た若い仲間たちに事実を伝えると、みんながっかりとした表情を表し、まずラーナの所に行っていた。
 



2004年10月19日(火) 天気:雨 最高:17℃ 最低:14℃


 このところ、宿直は女房が行っている。誕生したラーナの子犬が生後1週間になるまでは、私が見る、、、、、と言い張って育児箱の横を動こうとはしない。まあ、なんだかんだと言っても、彼女に任せておけば安心ではある、これ幸いと私は外野で応援団をしている。
 
 犬やネコの子供はもちろん、エゾシカやキタキツネ、タヌキに子牛、様々な野鳥のヒナにアザラシの赤ん坊、そしてニワトリやウコッケイに自分の子供たちと、女房の具体的な手の動きによって成長した生き物は多い。そろそろ感謝の言葉を伝えてみるべきだろうか。

 またまたの台風の影響で前線が元気になり、今日は朝から雨になった。
 そんな中、私は仲間たちとラブラドールのタブ母さんを乗せて南に向かった。久しぶりの結婚をさせるためだった。
 タブも、もう7歳になる。少し重めの体を考え、そろそろ跡継ぎを残す出産をさせようと思った。オスはセンという愛嬌者がいるのでOKである。今回は母親に似た黒いメスを残す予定である。
 
 とは言っても、交配が成功し、さらに妊娠しなければどうにもならない。タブの実家になる伊勢原のTさんの紹介で、若いオスと見合いをした。1匹目はタブの熟女パワーに負け、遠慮をしてしまった。
 仲人氏は友人のオスラブを連れて来た。
 タブは3年ぶりの結婚をした。明後日、再度の確認をする。この計画が実れば12月はアラルにタブと、出産で忙しい日々になる。
  また女房に夜を任せよう。



2004年10月18日(月) 天気:晴れ時々曇り 最高:18℃ 最低:10℃

 ラブラドールのタブの娘がドッグランに来てくれた。4歳、センの姉になる。
 残念ながら母親のタブは発情中の為に、娘に会うことはできなかったが、弟は笑顔で対面をした。もちろん2匹が同じ空間で同じ時を過ごした事は無い。でも血の不思議というのだろうか、顔立ちや仕草が似ており、そしてすぐに仲良くなった。
 タブの代わりに祖母のカーラも立ち会った。やはり顔立ちが一族を示しており、穏やかに孫たちを見守ってくれた。

 一族の集合、これは人間の情緒的な発想ではある。しかし、犬を飼っている方が、なんらかの理由を見つけて集まり、そこで交流を深めることは、実は犬たちにとっても素晴らしい事である。
 犬が犬であるためには、やはり同種間の会話、、、『犬語会話』こそが有効だと思う。
 
 秋の1日、フランスから帰った姉と数時間を過ごしたセン、何故かかなりジェントルだったのが、普段のセンを知る人間としては笑ってしまう。

 ラーナの子犬たち、誕生直後の体重減少から増加に転じた。今日から右肩上がりのグラフを描き続けるだろう。
 産声を上げた時から、日本で一番多くの方に見守られて育つ子犬たち、君たちはクリスマス犬の出自を守り、笑顔あふれる犬に、そして周囲に笑顔を満たす犬にならなければいけない。



2004年10月17日(日) 天気:快晴 最高:18℃ 最低:10℃


 北海道の息子から、中標津は0度だったと電話があった。凍結しないように外の水道の栓を夕方には調整(水を落とす)するように伝えた。

 午後、ラーナの子犬のうち、小さめのオスが死んだ。
 明け方から体温が下がり始めていた。体内のどこかに原因があるのだろう、乳首を含ませても他の6匹ほどの元気が無い。
 せつない事だが、子犬の体温が正常の37〜38度から2度でも下がると、母犬は、もうその子の世話をしようとはしない。ある意味で単なる物になり、他の元気な子に心が向いている。
 たくさんの子供を産む生きものの常として、落ちる数も、あらかじめ計算に入っている。。。それが摂理であり、種を強く次ぎに伝えるための厳しい掟だ。
 名もなきオスっ子、ひいじいさんのマロと一緒に北の大地に還してやろう。



2004年10月16日(土) 天気:曇り 最高:18℃ 最低:14℃


 なかなか晴れ間が続かない。
 ラーナ、6度ほど大小便に外に出ただけで(それも強制的に人間が出した)、あとは育児箱の中で子犬を抱いていた。
 4度目の出産、熟女のお産になるが、ミルクの出は良いようで、子犬たちが空腹でピーピーと鳴く声は聞こえない。
 昨日の生まれるところから大公開をしている。初めて出産の場に立ち会った方、初めてこんな小さな子犬を見たと言う方、皆さん、笑顔と驚きを示して下さった。



2004年10月15日(金) 天気:晴れ 最高:21℃ 最低:12℃


 ラーナ出産。
 
 (詳しくは後で書きます)



2004年10月14日(木) 天気:曇り 最高:19℃ 最低:15℃


 アラル、千葉へ。
 今日はオス(サブロー)を受け入れず、鼻にしわを作り、牙を見せていた。
 10日、12日の交尾、どちらかで受精し、その卵子が無事に着床してほしい。数日は静かに暮らせと人間が思っても、発情終期のメス犬らしく、やたらと他の犬に乗りたがっている(まるでオス犬のように)。



2004年10月13日(水) 天気:曇り時々雨 最高:20℃ 最低:17℃

 遠方より友人が来た。
 犬、ネコ、そして牛の話ができる友人だった。
 私の実家は、田畑の耕作だけではなく、牛の数は少ないけれど酪農をしていた。技術的にも、そして工学的な面においてもずいぶん進歩をしたが、基本となる哲学は40年前と変わらないと思う。
 従って、Nさんと話をしていると、同じ基盤の上で想いを展開をできる、そんな安心感を感じる。
 昔、私も大規模な酪農に憧れた事がある。父と話をし、様々な事情であきらめたが、それでも、牛をはじめ家畜による生業を大切に思う心は変わらない。今、西多摩の地で犬、ネコ、馬などの家畜たちと暮らしているのも、その延長線上にあるのかも知れない。
 そうそう、Nさんの牛舎を悩ませていたネズミ対策に、ミーとケイという2匹のネコを飼い始めたところ、あっと言う間に解決したとの事、家畜としてのネコ、その偉大さを見せてくれている。



2004年10月12日(火) 天気:雨時々曇り 最高:21℃ 最低:15℃


 お〜い太陽〜!

 そう呼びかけてみたい、そんな日が続いている。
 でも、生き物たちは元気、それぞれに行動し、水が嫌いと言われるネコたちですら、小雨ならば百友坊の各所に出没している。

 いよいよ出産が10日以内となったサモエドのラーナに、顕著な行動変化が現れた。
 エリア内をくまなく歩き、自分の体を入れられそうな物陰、穴、などを探している。今日は、長いブリッジの橋桁の下に穴を掘り、すっぽりとはまっていた。
 このまま人間の手の届かない所に入られては困るので、建物の中に産箱を運び込み、出産場所の準備をした。明日の夜からは付き添いも始めよう。
 わくわくする時が、どんどん迫っている。新しい命の誕生は、何度体験しても素晴らしい。
 もちろんこの光景は、来られたゲストの方、皆さんに見てもらえる用に、大公開で行う。
 そのほうが生まれた子犬たちは、陽気でフレンドリーな性格になる。

 そして夜、次に続くアラルの2度目の交尾が成功した。



2004年10月11日(月) 天気:曇り時々雨 最高:20℃ 最低:15℃


 ドッグラン・プチにたくさんの犬たちが来た。ゴールデン、ボーダー、フレンチブルなどに加え、王国では見られないボルゾイ、キャバリア、ヨーキーなども、元気に駆け、そして犬同士での会話を楽しんでいた。
 もちろん互いに初対面である。でも、抱かない、リードで繋いでおかない、のドッグラン基本2原則にのっとり、自由にされた犬たちは、自分の手法で相手の犬との会話を試し、そして成功させていた。
 ドッグランにおいては、人間は添え物である。あまり言葉をかけず、犬たちに任せることで『犬語会話』の場に平和が築かれる。
 それを再認識した1日だった。



2004年10月10日(日) 天気:曇り時々雨 最高:20℃ 最低:15℃


 せっかくの連休中日だが、台風一過の日よりとはならず、終日、ぐずついていた。
 王国に国王のムツさんが登場、たくさんの皆さんが話を聞き、そして質問をされていた。犬の事、ネコの事、身近な事への普段の疑問を、ムツさんは見事な切り口で答えてくれたと、あるゲストの方が笑顔で言って下さった。

 サモエドのアラルの発情が、ちょうど良い時期に来ている(排卵された卵子の熟成期)。昨日から隔離されているオス犬柵に寄って行き、尻を向ける動作も出て来た。
 と言う事で、夕方、千葉まで移動、サブローという名前のオス犬と見合いをした。
 車から降りて5分、なんとアラルとサブローは見事に繋がった。初対面でこれほど気の合うケースはまれで、普通は、挨拶の儀式が必要なのだが、すんなりと結婚をしてしまった。
 明後日、再度、見合いをさせることにして王国に戻った。
 アラルの通い婚、無事に受胎すれば、12月中旬に真っ白な子犬が産声を上げる。
 



2004年10月09日(土) 天気:台風 最高:22℃ 最低:16℃


 台風22号がやって来た。
 雨はしだいに強くなり、午後からは風も加わった。
 暴風雨となったのは午後3時から8時頃まで。その後、うそのように静かになり、宿直を増やして対処していた私たちも拍子抜けの感じだった。
 まあ、穏やかに過ぎることにこした事はない。
 王国開国以来、初めての臨時休園、予定をされていた皆さんには申し訳ないが、これも自然と命を相手にしている王国ゆえのこととご理解をいただきたい。



2004年10月08日(金) 天気:ただただ雨 最高:17℃ 最低:15℃


 台風が日本列島をうかがっている。その影響で前線が活発になり、あきる野は雨が降り続いている。
 犬たちには心地良い気温なのか、雨を気にせずに駆け回っている。メスの犬たちにいっせいに発情が来ているので、オスは小屋に入らずにウロウロ、食欲も失せ、泥だらけの体で『女、女』と瞳と声で訴えている。
 あっ、すべての犬が雨を苦にしない訳ではない、メキシカンヘアレスの連中は、肩をすぼめ(本当に壮なのである)、なるべく室内kらら出ないようにしている。水をよく弾く皮膚を持っているが、肌に直接水滴があたるのを嫌う連中である。

 台風の進路を考え、明日の王国の臨時休業が決まった。来国を予定されていた皆さんには申し訳ないが、目の前の川の横を通る道が流されたり、崖崩れが起きたことも過去にはあるらしい。安全のためにご了解をお願いします。



2004年10月07日(木) 天気:晴れのち曇り 最高:26℃ 最低:16℃


 今日も秋晴れ、おだやかに1日が過ぎた。

 ラーナ、4対の乳首のうち、下の2対からミルクが出た。
 妊娠確定(いまさらですが)宣言としよう。



2004年10月06日(水) 天気:晴れ 最高:25℃ 最低:14℃


 やっと、ついに、ようやく、、、、などと頭に文字を入れて会話が行われた。
 
 「やっと晴れてくれたね!」

 待っていた天候の回復に、人間はもとより、なにか犬たちも笑顔が多い気がした。あの泥だらけだったサモエドも、乾くとともに白くなっていくのがおかしい。白い毛ながらシャンプーいらずの不思議なところがある。これも毛をコーティングしている自前の油のおかげである。

 そうそう、サモエドと言えば、今月の20日頃に出産予定のラーナが、妊娠確定となってきた。機械等による診断はしていないが、腹部の張り出し、乳腺の膨らみ、彼女自身の動き、旺盛な食欲、等々、間違いはないだろう。
 
 今日、女房はラーナを仰向けに寝かせて触っていた。

 「ねえ、ねえ、面白いように抜けるよ、ほらっ」

 腹部、乳首の周囲を中心に、細長く2本の乳腺沿いに長い毛が抜かれていた。毛深い犬やキツネなどでよく判るが、子供たちが乳首を探しやすいように、くわえやすいように、出産の10日前頃から母親の盛んにくわえて抜く動作が見えてくる。
 けして無理矢理にむしり取る訳ではない。ホルモンの変化により、そこがかゆみを感じさせ、母親が口を向け、そして抜けやすくなるのである。
 何とも見事なシステムだといつも感心する。
 女房は、その手伝いをした。これも妊娠確実の証明の一つである。

 できるならば、ラーナには王国開園時間中に産んでほしい。そうすれば多くの皆さんに立ち会っていただき、さらに応援もお願いできる。
 新しい王国ができて初めての犬の出産。じつに楽しみである。



2004年10月05日(火) 天気:ひたすらに雨、雨 最高:17℃ 最低:15℃

 予報どおりに雨の一日になった。空梅雨とのバランスをとろうとしているのだろうか、とにかくこの秋は雨、雨である。

 そんな中、今日、『ドッグラン・プチ』の展開が始まった。オープンの旗は昨日振っていた。しかし、利用される犬たちの健康を考え、完全予約制、自治体での登録確認(鑑札番号)、狂犬病ワクチン接種証明、混合ワクチン接種証明をファックス等でお願いしているので、昨日は手続きだけで終わってしまった。

 雨の中、第一号で利用をしてくれたのは、嬉しいことに地元あきる野市の犬だった。
 昨日、問い合わせの電話がかかって来ていた。1歳になろうかという時期に他の犬に追われ、噛まれ、以来、よその犬を見ると吠え、歯をむき出し、跳びかかるようになってしまったとおっしゃっていた。

 「そんな家の子でも大丈夫でしょうか、利用できるのでしょうか?」

 心配そうな声が受話器から届いて来た。
 私はニコニコになった。

 「もちろんOKです。大歓迎です。ぜひ犬同士の付き合いを実現させましょう、お待ちしています」

 6歳になる大きなオスのゴールデンが来た時、雨は一段と強くなっていた。やや黄色く色付き始めている外来樹のヌマスギから大粒の雫が落ち、薄めの黄色の毛を濡らしていた。私たちは慌ててドッグランの中央、大きなテント屋根の中に駆け込んだ。

 私は、昨日の電話の情報から判断し、数匹のインストラクト犬を用意しようと考えていた。アベくんとkさんがラブラドールのタブ(メス)とセン(オス)、そしてレオンベルガーのベルク(親分、メス)を連れて来てくれた。

 見合いの時、私は飼い主さんに頼み、ゴールデンをリードから放してもらった。口輪まで用意してきていた飼い主さんは、戸惑い、実に不安そうだった。

 ゴールデンは、3匹に対して匂い嗅ぎ挨拶(スタンダードな儀式)のそぶりを全く見せずに、ガウガウと唸りながらタブとセンに口を向けて行った。
 名を叫び、止めに入ろうとする飼い主さんを、私は止めた。犬たちの様子はケガを招くものではなかった。何より、インストラクト犬として選ばれて来た3匹が、『この礼儀知らずめ!』と困惑を示してはいたが、対抗して戦おうとはしていなかった。

 それからの2時間の顛末は、飼い主さん(姉妹お二人)の言葉で示させていただこう。

 「信じられません、あの子が初対面の大きな犬3匹と同じ所で遊び、駆けているなんて。それに、呼んでも来ない子が、私たちの足下に横になりに来る、、、、。魔法みたいですね」

 私は、時間は掛かる、でも確実に変化をして行きますよ、と約束した。
 これが自宅の庭だったら不可能だったこと、相手が番犬系の犬種の時はより慎重さが必要なこと、等々、様々な説明をさせていただいた。

 「今日のゴハンは少なめね」

 と笑いながら、二人の女性と1匹のオス犬は雨の中を帰って行った。
 今日、ドッグランの中であの子は、袋半分のご褒美ジャーキーを食べている。